男性ホルモンと脱毛

ヘアサイクル
人間の髪の毛は、発毛した毛が成長し、やがて抜け落ち、そしてまた生え始めるといったサイクルを通常4〜5年(2〜6年とも言われています)で繰り返しています。これを「ヘアサイクル」(毛周期)と呼びますが、ヘアサイクルは毛母細胞の分裂が活発でグングン髪が伸びる「成長期」と毛母細胞の活動が低下しほとんど成長しなくなる「退行期」、完全に成長が止まり髪が抜けてしまう「休止期」に分けられます。私達を悩ます薄毛.ハゲの大部分は、このヘアサイクルが何らかの原因で短くなり(1〜2年)、髪が完全に成長する前に抜けることでおこります。成長期初期の髪は柔らかい軟毛ですが、正常な人の場合硬い毛に育っていきます。が、ヘアサイクルに異常がある場合、この軟毛の段階で抜け落ちてしまうことが多いのです。

育毛のメカニズム
では私達の頭の上でどのような事が起こっているのでしょうか?髪の毛自体に育つ細胞は「毛母細胞」です。毛母細胞には寿命があり、そのため上記のヘアサイクルがあります。かつてはこの毛母細胞が育毛にとってもっとも重要なターゲットと考えられていました。しかし最近の研究では、毛母細胞以上に重要な存在がクローズアップされています。それが「毛乳頭」です。毛乳頭は毛母の先端(髪の毛の根っこ)にあり、毛母細胞に増殖の命令を発する、言わば司令塔の役目をしています。ヘアサイクルの休止期に入ると、毛乳頭は毛母細胞(毛母細胞がなくなっている場合は皮脂腺にある幹細胞に)に発毛のサインを送り、毛髪は成長期に移ります。しかし何らかの原因で毛乳頭が育毛のサインを送らなくなった時に、私達はハゲるのです。

男性ホルモンと脱毛
男性型(壮年性)脱毛症の原因としてよく挙げられるのが遺伝と男性ホルモンの影響。遺伝に関しては、あのロゲイン(リアップ)にも「ハゲの家系でない人には効果がないかも」なんて書いてあるくらいだから関係があるのでしょうが、親がハゲていなくても、隔世や隔々世で出ることもあります。で、育毛最大の敵「男性ホルモン」。男性ホルモンは第二次性徴が始まる思春期以降には胸毛やヒゲといった部分に対して強く発毛を促しますが、頭髪に関しては全く逆に作用します。頭部の毛乳頭にある男性ホルモン受容体は他の部位の毛乳頭と異なり、男性ホルモンの刺激に対して「脱毛」の指示を送るのです。同じ頭髪であっても、頭頂部や前頭部のようにハゲ易いところと、側頭部のようにそれほどでもないところがありますが、何故同じ男性ホルモンの刺激に、毛乳頭が場所ごとに違う反応をするのかは、現在のところはっきり分かっていません。ロゲイン(リアップ)や経口育毛剤プロペシアの有効性は男性ホルモンの活性を抑制するところにあるそうです。